※丸数字は段落番号
企業概要/事業内容
株式会社スポーツシーブイ(千葉県)
- 資本金500万円
- 従業者数は2代目社長を含めて8名(うちパート3名)
- スポーツ用品の加工・販売
- 取扱商品は野球、サッカー、バスケットボールやバレーボールなどの球技用品、陸上用品、各種ユニフォーム、ジャージーなどのトレーニング用品、テーピングやサポーターなどのスポーツ関連用品など
- 近隣の公立小中学校の体操服や運動靴も扱っている。
- 現在の事業所は、小売1店舗(ユニフォームなどの加工、刺しゅうを行う作業場併設)
- X県の都市部近郊に立地する。付近にはJRと大手私鉄が乗り入れている駅があり、交通の便がよいため、住宅街が広がり、戸建てやアパート、マンションなどから構成されている。駅前は商店が多く、スーパーを中心に各種専門店や飲食店などがあり、買い物も便利でにぎわっている。
- B社のある町の中には幹線道路が通っていて、自動車での移動も便利である。すぐ近くには大きな河川があり、河川敷がスポーツ施設として整備され、野球場、サッカー場、多目的広場などがある。近隣の強豪社会人野球チームがここを借りて練習しているということで地域住民の野球熱が高く、野球場の数も通常の河川敷に比べるとかなり多い。
初代社長
- 付近にはスポーツ用品を扱う店舗がなかった
- 衣料品店
- サッカー用品の品揃えも充実
- 中学校の部活動にも対応できるように取扱商品を増やしていった
2代目社長
- 付近にサッカーやバスケットボール用品の専門店が相次いで開業し、過当競争。大型スポーツ用品量販店も出店、価格競争。
- 品揃えと提案力に自信のある野球用品をより専門的に取り扱っていくこととした。
経営方針/経営戦略
- ㉒自社の強みを生かせる新たな事業展開を行う
- ⑱第1に、総合的なスポーツ用品を扱いながらも、1970年代に事業転換したときからの強みである、野球用品の強化をさらに進める。特に子どもたち一人一人の体格や技術、特性に応じた商品カスタマイズの提案力をより強化することで、大型スポーツ用品量販店との差別化を図る。
- ⑲第2に、各少年野球チームの監督とのより密接なコミュニケーションを図り、各チームのデータ管理、メンバーや保護者の要望の情報把握、および相談を受けた際のアドバイスへの対応を進める。また、用品に関する買い替えなどの多様なニーズに応えるいくつかの販売方法を導入する。
- ⑳第3に、女子の軟式野球が盛んになってきたことに着目し、女子メンバー獲得に苦しんでいるチームを支援し、女子向けの野球用品の提案力を高め、新規顧客としての女子チームの開拓を行う。
- ㉑第4に、インターネットの活用の見直しである。現在は店舗紹介のホームページを設けている程度である。今後、このホームページにどのような情報や機能を搭載すべきか、また、SNSやスマートフォンアプリの活用方法についても検討し、顧客との関係性強化を考えている。
SWOT分析/3C分析/経営資源
機会
脅威
- B社付近の専門店、大型スポーツ用品量販店の出店
強み
- ④体操服に校章をプリントしたり、刺しゅうでネームを入れたりする加工技術を初代社長が身に付けて、この技術が2代目社長にも継承されている
- ⑫各種有名スポーツブランド用品の取り揃え、ユニフォーム加工技術や納品の確かさ、オリジナルバッグなどのオリジナル用品への対応力、子どもたちの体格や技術に応じた野球用品の提案力など
- ⑰ICT企業に勤めている30代の長男がB社を事業承継する決意をして戻ってくる
弱み
- ⑩専門店と比べると、B社は品揃えの点で見劣りがしている。→⑪野球用品をより専門的に取り扱っていくこととした
- ⑩量販店では、かなり低価格で販売されているため、B社は価格面で太刀打ちができない。→価格競争をする気はない
課題・問題点
- ⑬ユニフォームやオリジナル用品などは、各チームに一括納品できる。しかし、メンバーの保護者から、価格面でのメリットなどを理由に、大型スポーツ用品量販店で汎用品の個別購入を希望された場合、各チームの監督ともB社で購入することをなかなか強く言えなくなっている。
- ⑭成長に伴う買い替えや、より良い用品への買い替えも保護者には金銭的な負担となっていて、他の習い事もあり、買い替えの負担を理由に野球をやめてしまう子どもたちもいるということでB社は相談を受けていた
- ⑮野球をやりたいという子どもの確保も各チームの課題となっている。従来のようにポスターを貼ったりチラシを配布したりするといった募集活動に加え、SNSを用いた募集活動への対応がある。また、女子の軟式野球が盛んになってはいるものの、まだまだ少ない女子の参加希望者を増やしていくことも課題である。どのチームも女子のメンバー獲得に苦しんでいる。
- ⑯他には、チームやそのメンバーのさまざまなデータ管理についても、たとえばスマートフォンを使って何かできないかとB社は相談を受けていた。
解答方針
- 第3問、第4問が取り組みやすい。
- 第1問は、他の設問の解答を踏まえて、最後に解答すべき。
解答例
第1問(配点30点)
B社の現状について、3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析の観点から150字以内で述べよ。
B社内外の経営環境を分析する能力を問う問題である。
問題要求
- 3Cで、文字数はかなり多い。自社の強みと弱みの記述量が多くなりそう。
- ⑪品揃えと提案力に自信のある野球用品をより専門的に取り扱っていくこととした、とあるので、野球用品以外の品揃えについては弱みと捉えるべきではない(AAS解答の自社の弱みは誤り)。
想起事項
根拠
- ⑫各種有名スポーツブランド用品の取り揃え、ユニフォーム加工技術や納品の確かさ、オリジナルバッグなどのオリジナル用品への対応力、子どもたちの体格や技術に応じた野球用品の提案力など
- ⑰ICT企業に勤めている30代の長男がB社を事業承継する決意をして戻ってくる
- ⑲第2に、各少年野球チームの監督とのより密接なコミュニケーションを図り、各チームのデータ管理、メンバーや保護者の要望の情報把握、および相談を受けた際のアドバイスへの対応を進める。また、用品に関する買い替えなどの多様なニーズに応えるいくつかの販売方法を導入する。
解答例
顧客は、各野球チームの監督と保護者である。競合は、大型スポーツ用品量販店である。自社の強みは、野球用品の品揃えと提案力、オリジナル用品への対応力、長男のICT技術力等である。自社の弱みは、各野球チームの監督とのコミュニケーション不足、ホームページやSNSを活用した販促力不足である。
第2問(配点20点)
低学年から野球を始めた子どもは、成長やより良い用品への願望によって、ユニフォーム、バット、グラブ、スパイクといった野球用品を何度か買い替えることになるため、金銭的負担を減らしたいという保護者のニーズが存在する。B社は、こうしたニーズにどのような販売方法で対応すべきか、プライシングの新しい流れを考慮して、100字以内で助言せよ(ただし、割賦販売による取得は除く)。
顧客のニーズに対応した販売方法について、プライシングの観点からB社に助言する能力を問う問題である。
問題要求
- 2次試験では珍しい、価格戦略を問う問題
- 価格戦略に対応することで、何を実現するか
想起事項
根拠
- ⑬ユニフォームやオリジナル用品などは、各チームに一括納品できる。しかし、メンバーの保護者から、価格面でのメリットなどを理由に、大型スポーツ用品量販店で汎用品の個別購入を希望された場合、各チームの監督ともB社で購入することをなかなか強く言えなくなっている。
- ⑭成長に伴う買い替えや、より良い用品への買い替えも保護者には金銭的な負担となっていて、他の習い事もあり、買い替えの負担を理由に野球をやめてしまう子どもたちもいるということでB社は相談を受けていた
- ⑱第1に、総合的なスポーツ用品を扱いながらも、1970年代に事業転換したときからの強みである、野球用品の強化をさらに進める。特に子どもたち一人一人の体格や技術、特性に応じた商品カスタマイズの提案力をより強化することで、大型スポーツ用品量販店との差別化を図る。
解答例
B社は、子どもの成長に伴い無償で交換対応可能な、野球用品のサブスクリプション販売を行う。保護者との関係性を構築してニーズを収集し、各子どもに合った野球用品のカスタマイズを提案し、関連購買を促す。
第3問(配点20点)
女子の軟式野球チームはメンバーの獲得に苦しんでいる。B社はメンバーの増員のために協力することになった。そのためにB社が取るべきプロモーションやイベントについて、100字以内で助言せよ。
B社が新たな顧客を開拓するためのプロモーション戦略およびイベントの実施について、助言する能力を問う問題である。
問題要求
- 女子の軟式野球チームのメンバーを獲得するための施策を解答する。
- 本文⑮に記載されているとおり、ポスターを貼ったりチラシを配布したりするといった募集活動は実施済なので、解答から除外する(TAC解答、TBC解答は誤りである)。
想起事項
根拠
- ⑮野球をやりたいという子どもの確保も各チームの課題となっている。従来のようにポスターを貼ったりチラシを配布したりするといった募集活動に加え、SNSを用いた募集活動への対応がある。また、女子の軟式野球が盛んになってはいるものの、まだまだ少ない女子の参加希望者を増やしていくことも課題である。どのチームも女子のメンバー獲得に苦しんでいる。
- ⑳第3に、女子の軟式野球が盛んになってきたことに着目し、女子メンバー獲得に苦しんでいるチームを支援し、女子向けの野球用品の提案力を高め、新規顧客としての女子チームの開拓を行う。
- ㉑第4に、インターネットの活用の見直しである。現在は店舗紹介のホームページを設けている程度である。今後、このホームページにどのような情報や機能を搭載すべきか、また、SNSやスマートフォンアプリの活用方法についても検討し、顧客との関係性強化を考えている。
解答例
B社ホームページを活用して、女子の軟式野球チームを紹介し、メンバーを募集する。また、女子向けの野球教室を開催し、野球の面白さを訴求するとともに、女子向けの野球用品を提案し、新規メンバーの獲得を図る。
事例企業のホームページを見ると、チームの写真、代表、監督、部員数、スタッフ数、練習日・時間、場所、メッセージ、問合せ連絡先、ホームページが掲載されている。⑳「女子向けの野球用品の提案力を高め、新規顧客としての女子チームの開拓を行う」という材料は本問で使った。
第4問(設問1)(配点20点)
B社社長は、長期的な売上げを高めるために、ホームページ、SNS、スマートフォンアプリの開発などによるオンライン・コミュニケーションを活用し、関係性の強化を図ろうと考えている。誰にどのような対応をとるべきか、150字以内で助言せよ。
重要な顧客との関係性を強化するためのオンライン・コミュニケーション戦略について、助言する能力を問う問題である。
問題要求
- 顧客関係性強化のための施策を答える。
- オンライン・コミュニケーションに限定している。
想起事項
根拠
- ⑬ユニフォームやオリジナル用品などは、各チームに一括納品できる。しかし、メンバーの保護者から、価格面でのメリットなどを理由に、大型スポーツ用品量販店で汎用品の個別購入を希望された場合、各チームの監督ともB社で購入することをなかなか強く言えなくなっている。
- ⑯他には、チームやそのメンバーのさまざまなデータ管理についても、たとえばスマートフォンを使って何かできないかとB社は相談を受けていた。
- ⑱第1に、総合的なスポーツ用品を扱いながらも、1970年代に事業転換したときからの強みである、野球用品の強化をさらに進める。特に子どもたち一人一人の体格や技術、特性に応じた商品カスタマイズの提案力をより強化することで、大型スポーツ用品量販店との差別化を図る。
- ⑲第2に、各少年野球チームの監督とのより密接なコミュニケーションを図り、各チームのデータ管理、メンバーや保護者の要望の情報把握、および相談を受けた際のアドバイスへの対応を進める。また、用品に関する買い替えなどの多様なニーズに応えるいくつかの販売方法を導入する。
- ㉑第4に、(省略)SNSやスマートフォンアプリの活用方法についても検討し、顧客との関係性強化を考えている。
解答例
各少年野球チームの監督向けに、①チーム情報や試合データの管理機能と、②メンバーごとの要望・相談の受付機能を搭載したアプリを開発し、利用してもらう。これにより、監督との関係性を強化して、メンバーや保護者のニーズを収集し、各子どもに合った商品を提案して、B社でのユニフォームやオリジナル商品の購入を促す。
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