1次試験もままならぬまま、2次試験対策をしている私です。今日は飯田橋にて、MMCの模試を受けてきました。MMCは2次試験対策専門の受験予備校で、実は7~8年前くらいにお世話になりました。問題のクオリティが高く、答案も整然としていて、私は好きです。
総評として事例3がかなり難しいと感じました。与件も設問も十分理解できていますが、その対応関係がわからなかった。悩みすぎて時間を使いすぎて、内容の薄い中途半端な答案になってしまいました。
事例1はそれなりに対応できていましたが、詰めの甘さが目立ちます。事例2はちょっと酷かったです。情報整理の表を書いていたのに、設問とうまく対応させられませんでした。解法の見直しが必要です。
事例4はそこまで意地悪な問題ではなかったと思いますが、まったく歯が立たず、基礎ができていないことを痛感しました。しっかり復習に励みたいと思います。
事例1
第1問
事業展開は、X社の下請け事業に売上の9割を依存しており、経営リスクが大きかった。ニッチ市場を選択した理由は、①業界をリードする技術力を培うとともに、②ロイヤルティの高い顧客を開拓して業績安定を図るため。
なんとなくそれっぽい解答をしているが、実際は大きく外しているパターンでした。下請けが「不況の影響を受けやすい」点、ニッチ市場が「市場の影響を受けにくく、自社で売上維持・シェア拡大が見込める」点に言及していません。
第2問(設問1)
理由は、①営業担当2名で営業力が不足しており、顧客からの問合せにも対応できないため。また、②販売面で専門部署を保有しておらず、販路もないため。③開発面でも、最終消費者向け製品開発の技術者確保は困難な為。
ネガティブな理由ばかり挙げてしまい、バランスが悪い答案でした。ポジティブな理由として、「産業向けの製品開発がA社に適している」点に言及したかったですが、そんな発想は微塵もなかったです。
第2問(設問2)
オフィス機器は売り切り型であるのに対し、3Dプリンターはノズル等の消耗品による継続的な売上が見込める。また、3Dプリンターは先進的な事業で、技術力の向上等が期待できる。
概ね良い答案でした。
第3問
目的は、①3Dプリンター開発に必要な資金調達を円滑化し、②専門的な知識を有する技術者がチームで協働することで先進的な製品開発を促進し、③役員の部門長兼任により意思決定のスピードを向上させ、機動的な技術開発を可能にするため。
②で「先進的な事業展開」、③で「意思決定の迅速化」とほぼ同じ趣旨の答案を作れたのは良かったです。専門技術者の混成チームがどういう効果をもたらすのかが、いまいちわかっていませんでしたが、「チャレンジ精神や独創性の向上」だったようです。難しい。
第4問
①制度面で、若手技術者への権限委譲を進めて、裁量を拡大する。また、年功序列を廃止して完全な業績評価制度とする。また②教育面で、技術者へのOJTや小集団活動の促進、教授等の外部専門家による技術研修を行う。
MMCお得意の①配置、②評価、③能力開発という切り口での分類が正答だったようです。配置については「適材適所」がお決まりのフレーズですね。この辺も心に留めておきたいです。
- 採用・配置:新卒採用、経験者の中途採用、希望や能力に応じた適材適所な配置
- 評価:能力主義、成果主義、目標管理
- 報酬:評価制度にもとづく公平公正な報酬、インセンティブ
- 能力開発:OJT、Off-JT、研修制度、計画的な教育訓練
事例2
解説にありましたが、問われている戦略を混同するな、ということでした。解いているときあまり意識していなかったので、次からは注意して取り組みたいです。
- 企業戦略→成長戦略
- 事業戦略→競争戦略
- 機能戦略→品揃え戦略、プロモーション戦略、価格戦略、チャネル戦略
第1問
(S)素材メーカー等とのネットワーク、着心地が良く手入れしやすいニット製品の開発技術力。
(W)ニット製品はオートメーション化が困難で人件費がかさみ、コスト削減が困難であること。
(O)スーパークールビズやリモートワーク普及による自家用需要増加、百貨店の客足回復。
(T)X社含むOEM事業の取引先需要の回復が見込めず、価格競争が激化していること。
強みについては、「自社ブランドの保有」「Z社との取引実績による信用力」が漏れていました。弱みは大きく外していて、「Z社に依存する取引構成」「新規取引先の開拓不足」が正答でした。対応は難しいかなと思います。機会も大きく外しました。本問がこれ以降の設問につながることを考えれば「働く女性層やスポーツウェアメーカーの需要増加」は書けたはずです。精度の低さというか、甘さが目立ちます。
第2問
B社は、①自社ブランドのオンライン販売を拡大しつつ、②OEMについてはコスト削減要求の強いX社等との取引は縮小して、③高価格帯での販売が見込めるスポーツウェアメーカーや百貨店等との取引を開拓すべき。
的外れです。1つ目のターゲットは「20代から50代の大都市で働く女性層」です。2つ目のターゲットは「機能性を求めるゴルフ愛好家」で、こちらはほんの少し想像を膨らませて解答する必要がありました。
第3問
①B社女性社員を活用し、20~50歳代の女性層から、クールビズ対応のブラウス等の商品ニーズを収集する。また、②試作品の企画段階から顧客を巻き込み、顧客意見を商品開発に反映させ、幅広い顧客との関係性を強化する。
こちらも的外れ。今の私にとっては難易度の高い設問でした。解説を見ればなるほど、という感じ。やはり、設問を意識して与件を読みつつ、設問に対して与件の情報を整理・分類していかないと厳しいかなと感じました。情報整理表の軸を事業別にしていたのが効果的ではなかったです。
第4問(設問1)
①リモートワークを行う社会人向けに、ビジネスシャツの色違い商品等を拡大する。②ゴルフ関連事業を協会しているメーカー向けに、ニット素材のゴルフウェアを開発する。③20~50代女性向けのクールビズ商品を開発する。
こちらも対応できていません。正答をみても腑に落ちていません。また時間をかけて復習します。
第4問(設問2)
1.商品購入後、サイズ交換を望む顧客への商品交換・配送を行う。
2.ジャケット等の洗濯方法を情報発信し、洗濯代行サービスも行う。
イマイチですが、正答を見てもしっくりきていません。
事例3
今見返してみたらどれも日本語としてよくわからない文章になっていて、なんだか泣けてきます。
第1問
C社の強みは、工具の一貫生産体制をもち、独自の超硬工具を開発できる技術力を有すること。弱みは、取引先からの低価格要求が強い低収益構造であること。
設問にある「特徴」というのは、強みを問うときに使われる言葉のようですね。自社の強み・弱みのことかと勘違いしていました。⑥段落の「営業部では、積極的な営業訪問で自社製品の提案販売を行い、新規顧客を開拓している」を強みとして認識できていませんでした。完全にマークし漏れています。「難削材」という表現を盛り込めていなかったですが、これはまあ仕方ないかなと思います。
第2問
①売上拡大に向けて生産能力を向上する。理由は、大手家電メーカーからの引き合い増加に対応し、C社の強みである超硬工具の受注を拡大するため。また、②コスト削減に向けて、資材調達の選定や価格交渉を行う専門部署を設ける。理由は、超硬工具の材料が希少で高価であるため。
これもよくわからなかったです。
第3問
問題点は、生産計画策定後に見直しや情報交換が行われないことと、特急品や飛び込み受注が効力されていないこと。対応策は、①営業部と工場の情報交換を週次で行い、生産計画を見直す。②生産計画に、特急品等に対応できる余力を加味し余裕のある計画にする。
第3問と第4問で、与件のひもづけがごっちゃになりました。めちゃめちゃ悩んで時間を浪費してしまい、まとまりのない解答になってしまいました。⑨段落の見出しが「生産計画について」と書かれていて、これが材料になることは認識できます。具体的には以下の箇所で、これらを見た瞬間に対応策を思いつかないといけません(私はなかなか思いつきませんが)。
- 毎月初旬に・・生産計画の策定後は、翌月の生産会議まで情報交換の場は特に設けていない。
→生産計画の週次化など短サイクル化 - 飛び込み注文の依頼が入り、工場が混乱することがある。
→模範解答では使用していない? - 設備の故障や製品毎の段取り替え時間が一定しないことで、加工ラインのスピードが生産計画に対して遅れ、納期遅れや必要な部品の欠品が発生
→設備保全活動を組み込んだ計画立案 - 焼結工程がボトルネックとなっている・・生産ロットサイズ目いっぱいの数量で処理・・余分に生産された製品は・・在庫となり、工場内の製品の管理に混乱を生じさせている
→需要予測に基づく適正ロットサイズの計画立案
第4問
重視すべき情報は、余力情報、在庫情報、納期情報である。再検討すべき計画は、①工場での在庫管理・進度管理を徹底し、営業への問い合わせに対応する。②設備の改良保全、シングル段取り化で生産余力を確保する。
前知識が欠落していて、どう対処すべきかわかりませんでした。生産計画を3つに分類すると以下のようになるそうです。(覚え方:計画したけど、日光不可!→生産計画・日程・工程・負荷)
- 日程計画・・納期・数量・生産品目・生産順序
- 工程計画・・加工方法・作業手順・生産方式
- 負荷計画・・作業員数・設備能力・生産の余力
第5問
国内工場では、高付加価値の超硬工具を生産することで、技術情報漏えいのリスクを回避し、若手職人への技能承継を進める。また、海外工場では、付加価値の低い特殊鋼工具やダイヤモンド工具を生産し、規模の経済による低コスト化で収益の工場を図るとともに、国内工場の生産余力を確保する。
与件の方向性を若干無視した、良くない答案でした。まず海外工場については、取引先は「生産コストの低減」を狙っており、「超硬工具を海外でも継続的に使用したい」という与件をそのまま活用すべきでした。2つの目的「⑤リスクの回避と収益の向上」を、それぞれ国内工場と海外工場に割り当てるという発想は合っていました。
事例4
第1問
(設問1)売上高総利益率、棚卸資産回転率、当座比率
解答は有形固定資産回転率のところ、私は棚卸資産回転率を選択してしまいました。与件に設備の経年劣化の話があったことは認識していましたが、私の勝手な思い込みで棚卸資産回転率のほうが差が大きいかなと思ってしまいました。猛反省。売上高総利益率、当座比率は当たっていました。
(設問2)短期借入金の増加により安全性は低下し、在庫増加により効率性も低下している中、コスト削減により収益性は改善している。
解答は「設備の経年劣化で効率性が低下」となっており、まあそれはそうだよね、という感じです。また、「現金の減少で短期支払能力も低下」とあり、設問1で指摘した当座比率についてしっかり触れていることに納得です。
第2問
(設問1)キャッシュフロー計算書の解き方を完全にど忘れして、ズタボロでした。この問題は取れないとダメですね。
営業CF
スタートが「税引前当期純利益」になっていますが、「営業利益」じゃダメなんですかね?計算上は合っているので問題なさそうに見えるのですが・・
非資金費用として減価償却費はわかっていたのですが、貸倒引当金を加味するのを忘れていました。△11→△14で増減△3なので、営業CFにはプラス3します。
運転資金の計算は問題なし。その他流動資産の増減額・その他流動負債の増減額を加味していませんでした。そんなの知らん。ここまで小計です。
小計の後は、営業外収益、営業外費用を普通に加減して、その後法人税の支払額です。法人税の支払額は、P/Lの法人税等だけでなく、B/Sの未払法人税の増減額を加えないといけない、という点に注意です。
投資CF
さすがMMC、引っ掛け問題てんこ盛りでした。勉強になります。B/Sの枠外の注意書きなどまったく見ていませんでした。機械・装置は、B/Sの増加額1(-1)、期中の取得原価15(-15)と売却益5(+5)を足し合わせます。
財務CF
ここだけは数値が合っていましたが、書く欄を間違えてました。ドンマイ!
(設問2)自動車減産等で売上減少し営業CF悪化。借入金増加で財務CFは増加し、設備投資が行われていないため投資CFは増加した。
解答を見ると、「資金獲得力が低く」「維持的投資に支出」「借入で資金調達」といった、素晴らしいフレーズがありました。目からウロコです。己の未熟さを痛感。
第3問
難易度が中程度の取替投資の問題で、本来は点を取れないといけないところです。
(設問1・X3期末CF)X3期のCFについて、①投資額(-150)、②売却代金(+35)、④売却損の節税効果13×0.3、までは合っていましたが、③在庫投資削減額の計算を間違えました。設問文に「X3期末から在庫投資9百万円を削減できる」→「9×(1-0.3)」と計算しましたが、運転資本の増減であるため税控除不要だったようです。設問文「取り替えた場合は、現状の設備を使い続ける場合よりも在庫投資9百万円削減できる」にある9百万円は差額利益ではなく、現金同等物である、ということですね。うーん、まだ設問の意味がちゃんと理解できていない気がします。
(設問1・X4期差額税引後利益)解答解説のように、差額利益、差額費用、差額税引前利益の順に、それぞれ順に計算していくべきですね。そうすれば混乱しない。
(設問2・差額税引後利益)現状設備を使い続けたときのCFです。20百万円の追加投資によって、5百万円の減価償却費が発生し、差額の税引後利益は-5×(1-0.3)=-3.5になりますが、私はCFを計算してしまって、-3.5+5=1.5と記載していました。問題をよく読め!
(設問2・X3期末正味現在価値)各期末のCFを整理します。
取替投資
- X3期末 -102.1
- X4~X8期末 25.5
- X8期末 在庫削減額の戻り-9 ←これを忘れていました!!
現状設備
- X3期末
- X4期末 -20
- X5~X8期末 1.5
- X8期末の除却による節税効果 2.4(除却損8×税率0.3)
第4問
(設問2)これも取らなきゃいけない問題でした。X6期から継続するフリーCFの、X5期末時点での永続価値を計算します。私が計算ミスしたのは2箇所あって、まずX6期末まで1%ずつ成長していくということで、X2期末の4.2に、1.01の3乗をしないといけないです。また、私は資本コスト7%から成長率1%を引いていましたがそれは誤りで、X6期以降に1%成長するという記述はなく、単にX6期末から継続するというだけの話でした。要は設問文の読み間違いです。
(設問3)企業価値評価の方法の名称と説明がすぐに出てこなかったのはダメでした。悔しい。
- DCF法・・将来期待されるCFを現在価値に割り引く
- 類似会社比較法・・類似する会社と比較することで、相対的な価値を算出する
- 配当還元法・・配当の見込み額に基づいて株式価値を算定する
- 簿価純資産額法/時価純資産額法・・純資産を対象企業の価値として評価する
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