【事例4】意思決定会計の問題は6割取りたい

基本計算式はこれだけど、CF計算書の営業活動によるCFの計算なのか、投資計算における営業CFなのかを見極めないといけない問題が出る可能性があるので注意!

税引後CF=税引後営業利益+減価償却費-運転資本の増加額

「売却」と「除却」と「廃棄」に注意!「除却」は資産を帳簿からなくすという意味で、残存簿価(取得価額-減価償却累計額)を特別損失に振り替えます。

  • 売却→①売却CFと、②売却損or売却益の税効果を加味する
  • 除却→除却損(=残存簿価)は非資金費用で、減価償却費と同じ扱い
  • 廃棄→廃棄するときにかかった費用は除却損として扱う

令和4年度第3問

設問1と設問2は確実に取りたいです。設問3は捨て問ですが、時間がかかる問題ではないので、できるなら取りたいところです。受験予備校間でも解答が割れていますが、ポイントは下記3点です。

  • 在庫の取り崩しをどう処理するか→投資時と反対の処理を行う
  • 販売期間終了後の継続CFを、経済的耐用年数15年で計算するか、永続的価値として計算するか→経済的耐用年数15年で計算するのが正しいと思うが、計算が煩雑すぎる(アンバランス)ので、それを作問者が期待しているようには思えない
  • 設備の残存価額をどう扱うか→問題文に「除却」とも「売却」とも書かれていないので、処理しようがない(通常は、経済的耐用年数経過後に何らかの処分を行うことが、問題本文に指示されている)

令和3年度第2問

設問1と設問2は確実に取りたいです。設問3は時間がかかるので捨て問ですが、めちゃめちゃ難しいというわけではありません。ちなみに設問2を間違えると、設問3も芋づる式に間違えます。

令和2年度第2問

設問1は確実に取りたいです。設問2が捨て問です。ポイントは、「処分」と「売却」の違い。売却の場合は、売却による投資CFの増加(現金収入)と、売却損の税効果を考慮しますが、処分の場合は単なるキャッシュインかアウト(現金収入か現金支出)になります。ポイントは以下のとおり。

  • ①のケースは、効果が出るときと出ないときでCIF以外の条件が変わるため、図を別々に書く
  • ②のケースは、効果が出る場合も出ない場合もCIF以外の条件が同じため、CIFはまとめて期待値計算する、図も1つでよい
  • 資産の帳簿価額が記載されているものの、結果的にこの数値は使わない(もし売却であれば使うのだが)。「処分から得られるキャッシュフロー」という表現に注意
問題文(設問2)
  • 同店に関連して所有する資産の帳簿価額は35百万円である。
  • ①資産の処分から得られるキャッシュフローは28百万円を予定している。
  • ②資産の処分から得られるキャッシュフローは27百万円を予定している。

令和元年度第3問

設問1と設問2は取れないとアウトです。設問3も、例年の難易度に比べれば易しいので、取りたいところです。ポイントは以下のとおり。

  • 原材料費と労務費のコスト削減額、差額減価償却費、差額投資額をきちんと認識できているか(わかりにくかったら、総額をイメージして、そこから差額を求めてもよい)
  • 「全社的利益は十分にあるものとする」=事業が赤字でも税金は発生=営業利益がマイナスでも(1-税率)を掛ける

平成30年度第2問

設問1と設問2は絶対に取りたい問題です。設問3も、少し頭を使いますが、計算量は極めて少ないので、ぜひとも取りたい問題です。ポイントは以下のとおり。

  • 資産×WACCだけリターンが期待されている
  • キャッシュフローの現在価値を算出するとき、1年分の成長率を加味するかどうか

平成29年度第3問

設問1、設問2ともに正解したいところです。全く難しくはないですが、下記のポイントだけ注意。

  • 除却損の税効果は「残存価額+処分費用」×税率、処分費用を入れ忘れないこと
問題本文

旧機械設備の除却損の税金への影響は第X1年度末に生じるものとする旧機械設備の除却損の税金への影響は第X1年度末に生じるものとする

平成28年度第2問

キャッシュフロー計算が明示されているパターンの問題でした。設問1、設問2①は必ず取らないといけない問題です。設問2②もできれば取りたい問題でした。ポイントは以下のとおり。

  • 設問2②で、税引後キャッシュフローをxなどとして解く(増加分をxとすると計算がややこしくなるため)
  • ①で算出した数値を使うか使わないかによって、②の数値が微妙に変わってくる
問題本文

旧機械設備の除却損の税金への影響は第X1年度末に生じるものとする旧機械設備の除却損の税金への影響は第X1年度末に生じるものとする

平成27年度第3問

計算量は多くないけれど、基本的な論点の確認要素が多く盛り込まれており、ちょっとした認識違いで足元をすくわれる問題だと思いました。ポイントは以下のとおり。

  • 設備gはプロジェクトにのみ使用するので、この減価償却費はCF計算に加味する必要がある
  • 問題文に設備hの売却が明記されていないが、以下の問題文から売却CFが発生すると認識しなければいけない
  • 投資案の「収益性」を示すのは正味現在価値法、「流動性」や「安全性」を示すのは回収期間法
問題本文

機械設備hの第×5期末時点での価値は簿価と同額の32百万円

平成26年度第2問

横着して差額で計算しようとするとミスしやすくなるので、損益計算書に沿って計算します。売上原価の増分の加味、金額単位、除却損など、引っ掛け要素満載で、正解にたどり着くのは大変ですが、決して解けない問題ではありません。

  • 売上原価も変化するので注意→「売上原価は売上高に比例している」
  • 除却損が発生することと、そのタイミングに注意する
問題本文

再開発に合わせた改装を行う場合、現在の設備備品は平成26年度期末の帳簿価額で翌期首に除却されるものとする

平成25年度第2問

設問1と設問3は確実に取りたいところですが、設問2は難問でした。CF計算書の営業活動によるCFの計算なのか、投資計算における営業CFなのかを見極める必要があります。また、第1期は税引前利益がマイナスになります。このとき税金を0にするかどうか判断に迷うことになります。

植物工場がD社と別会社であれば、税金を0にしておく必要がありますが、そうでない場合、D社の全社的な利益があるのかないのかによって判断します。

タイトルとURLをコピーしました