R3事例3、激ムズ問題にどう対応するか

R3事例3は、対応が本当に難しい問題だと感じました。本番で79点答案を作成された方の回答を見て、その対応力の素晴らしさに舌を巻きましたし、私にそんなことできるわけがないです。そこで、現実的にどう対応できるのかを検討しました。

第1問(配点20点)

革製バッグ業界におけるC社の⒜強みと⒝弱みを、それぞれ40字以内で述べよ。

C社の事業内容を把握し、革製バッグ業界におけるC社の強みと弱みを分析する能力を問う問題である。

解答例

(a)一貫受託生産体制、競争力ある自社ブランド製品、熟練職人の縫製・加工技術力、修理対応。
(b)低価格の受託品への売上依存、自社ブランド品の企画・開発経験不足と売上不足。

検討

  • 短時間で回答すべき設問。
  • 主に1~5段落からピックアップ。
  • 一貫受託生産体制は強みなのか、という懸念はあるが、事例3の典型的な強みとして書くしかないし、ハズレでも仕方なし。
  • 修理対応は、第4問で使えるので、強みとして採用。

第2問(配点30点)

バッグメーカーからの受託生産品の製造工程について、効率化を進める上で必要な(a)課題2つを20字以内で挙げ、それぞれの(b)対応策を80字以内で助言せよ。

C社の受託製品の受注生産工程について、効率化を進める上で必要な課題を整理し、その対応策を助言する能力を問う問題である。

解答例

(a1)生産計画の精緻化とロットサイズ適正化(18文字)
(b1)対応策は、①生産計画立案を月次から週次に短サイクル化して特級品等に対応、②資材の納期を考慮して生産計画に反映し欠品防止、③受注量に合わせたロットサイズに変更。(79文字)

(a2)縫製工程の負荷軽減によるLT短縮。
(b2)対応策は①熟練度ではなく余力管理を考慮した作業者の決定、②部分縫製より熟練度の低い全体縫製での機械化、③製造工程全体でのOJTにより若手職人の技術習熟度向上。

検討

第2問と第3問の与件材料の棲み分けが本当に難しく、本番の短い時間で的確に材料を切り分けるのは厳しいなと思う。ただ、第2問では「受託生産品」という制約がついており、そこから「バッグメーカー」というキーワードで与件を探して、以下の部分が材料になるとわかる。

  • (6段落)生産管理担当者は、バッグメーカーの他、小売店およびインターネットからの注文受付や自社ブランド製品の修理受付の窓口・・生産計画は月1回作成し、月末の生産会議で各工程のリーダーに伝達されるが、計画立案後の受注内容の変動や特急品の割込みによって月内でもその都度変更される。
    →受注内容の変動や特急品の割込みに対応できるよう、生産計画の短サイクル化が必要。この段落は、受託生産品に限った話ではない。
  • (7段落)生産は、バッグメーカーから受託する受注生産が主であり、1回の受注量は年々小ロット化している。生産管理担当者は、繰り返し受注を見越して、受注量よりも多いロットサイズで生産を計画し、納品量以外は在庫保有している。
    受注量に合わせたロットサイズ
  • (11段落)通常はバッグメーカーからの受託生産品の縫製作業が中心・・全体縫製では部分縫製よりも熟練を要する。
    全体縫製の機械化
  • (12段落)仕上げ工程は、縫製されたバッグメーカーからの受託生産品の裁断断面の処理、付属金物の取り付けなどを行う製造の最終工程を担当し、縫製工程同様手作業が多く、熟練を要する。
    →ここの材料は使えなかった
  • (13段落)縫製、仕上げ両工程では、熟練職人の高齢化が進み、今後退職が予定されているため、若手職人の養成を行っている。その方法として、細分化した作業分担制で担当作業の習熟を図ろうとしているが、バッグを一人で製品化するために必要な製造全体の技術習熟が進んでいない
    →第2問と第3問のどちらに割り振るかわからないので、両方に使ってリスクヘッジ

第3問(配点20点)

C社社長は、自社ブランド製品の開発強化を検討している。この計画を実現するための製品企画面と生産面の課題を120字以内で述べよ。

C社自社ブランド製品の開発強化の計画を実現するために必要となる製品企画面と生産面の課題について、助言する能力を問う問題である。

解答例

製品企画面で、①オンライン販売情報から顧客ニーズを収集し企画に活用、②企画・開発経験者採用。生産面で、①需要予測の精緻化により欠品や過剰在庫を防止、②自社ブランド製品の修理専門部署を設置、③製造工程全体でのOJTで若手職人の技術習熟度向上。(120字)

検討

第3問では「自社ブランド製品」という制約がついているため、「自社ブランド製品」というキーワードで与件を探して、以下の部分が材料になるとわかる。

  • (3段落)インターネットによるオンライン販売も開始
    →ニーズ収集を想起
  • (5段落)C社社長は今後、大都市の百貨店や商業ビルに直営店を開設して、自社ブランド製品の販売を拡大しようと検討している。ただ、製品デザイン部門には新製品の企画・開発経験が少ないことに不安がある。
    →いろいろ策はあるが、採用が一番手っ取り早いのではないか
  • (8段落)バッグ小売店やインターネットで販売する自社ブランド製品は、生産管理担当者が受注予測を立てて生産計画を作成し、見込生産している。注文ごとに在庫から引き当てるものの、欠品や過剰在庫が生じることがある。
    →見込生産の解決策として需要予測の精緻化を想起
  • (11段落)自社ブランド製品の縫製工程を担当した熟練職人は、引き続き仕上げ工程についても作業を行い、製品完成まで担当している。各作業者の作業割り当ては、縫製工程のリーダーが各作業者の熟練度を考慮して決めている。縫製工程は、自社ブランド製品の修理作業も担当しており、C社製造工程中最も負荷が大きく時間を要する工程となっている。
    →負荷が大きいのを解消するには、自社ブランド製品の修理を切り離す
  • (13段落)縫製、仕上げ両工程では、熟練職人の高齢化が進み、今後退職が予定されているため、若手職人の養成を行っている。その方法として、細分化した作業分担制で担当作業の習熟を図ろうとしているが、バッグを一人で製品化するために必要な製造全体の技術習熟が進んでいない
    →第2問と第3問のどちらに割り振るかわからないので、両方に使ってリスクヘッジ

第4問(配点30点)

C社社長は、直営店事業を展開する上で、自社ブランド製品を熟練職人の手作りで高級感を出すか、それとも若手職人も含めた分業化と標準化を進めて自社ブランド製品のアイテム数を増やすか、悩んでいる。C社の経営資源を有効に活用し、最大の効果を得るためには、どちらを選び、どのように対応するべきか、中小企業診断士として140字以内で助言せよ。

直営店事業を計画しているC社が、経営資源を有効に活用し、最大の効果を得るための自社ブランド製品戦略とそのための社内対応について、助言する能力を問う問題である。

解答例

熟練職人の手作りで高級感を出す。対応策は、直営店での販売拡大のため、①修理サービスを通じて、永く愛着を持つというコンセプトを顧客に訴求し、愛顧向上を図る、②直営店で顧客のニーズを収集して新製品の企画開発に活かす、③C社独自ウェブサイトから直営店への顧客誘導で販売拡大を図る。

検討

与件に材料はほとんどなく、ほぼ想像で書くしかない。設問文にある「最大の効果を得る」とは、「自社ブランド製品の販売拡大について最大の効果を得る」という意味で解釈した。また、「経営資源を有効に活用」とあるので、経営資源として直営店(まだ実現していない)やウェブサイト(こちらは運用中)を活用することを想起。

  • (4段落)その企画・開発コンセプトは、「永く愛着を持って使えるバッグ」であり、そのため自社ブランド製品の修理も行っている。
    →修理サービスでコンセプト訴求
  • (5段落)目的は、大都市の百貨店や商業ビルに直営店を開設して、自社ブランド製品を販売拡大すること。
    →直営店でニーズ収集

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